オオタニは職場も救う

職場と仕事

今日は朝から、なんか空気が違う

いや、違うというか——
異常に静か。

普段なら、
誰かが誰かに文句を言ってるか、
ため息が飛び交ってるか、
少なくとも一人は
「これ誰やったの!?」って怒鳴ってるのがこの職場のデフォルト。

なのに今日は、やけに平和。

「……嵐の前の静けさか?」と思って、
様子を見に行くと、原因はすぐにわかった。


原因はテレビ。と、オオタニ

モニターの前には、
ポン、軍曹、イラ神が勢ぞろい。

映っていたのは——
オオタニの試合中継。

軍曹

「うわっ、やっぱスイングが違うよねぇ〜!」

イラ神

「マジで神。オオタニってやっぱ持ってるんだよ〜」

ポン

「この前のホームラン、俺もあれ狙ってたんだよな」

……え?
何を?

仕事は完全放置。
もはやオフィスというより、平日のスポーツバー

電話が鳴ろうが、
顧客が来ようが、
誰も気にしない。

オフィスのど真ん中で立ち上がって拍手。

「いけぇぇぇーっ!」
「やばっ!!打ったあああ!!」

……いや、
納期、今日ですけど?


それでも、不思議と怒る気にならない

なのに不思議と、
誰もイラつかない。

あのギスギスした空気が、
嘘みたいに消えている。

みんなが同じ方向を見て、
同じタイミングで笑っている。

イラ神が怒鳴らない日なんて、
何ヶ月ぶりだろう。

軍曹も、
人のやり方にケチをつけず、
素直に拍手している。

ポンに至っては、
珍しく人の話をちゃんと聞いている。
(実況の)

オオタニ、
あんたどれだけの平和の使者なんだ。


平和すぎて、仕事は死ぬ

顧客がドアを開けて入ってきても、
誰も気づかない。

電話も何回か鳴っていたけど、
全部留守電が受けていた。

普段なら、
「電話出ろよ!」って怒鳴るイラ神が——

イラ神

「ちょ、静かにして……今ピッチング変わるから」

……
お前が一番うるさい。


試合終了。現実、帰還

昼休憩が終わる頃、試合も終了。

祭りの後のような静けさ。

イラ神がコーヒーを片手に、ぽつり。

イラ神

「オオタニってさぁ、なんか希望くれるよね」

その言葉に、全員うなずく。

……
仕事、ほったらかしてるけど。


午後、地獄の巻き戻し

午後になると、一気に現実。

  • 電話は溜まり
  • 伝票は山積み
  • 顧客からの折り返し依頼は3倍

軍曹

「あ、これ午前中やる予定だったやつだ」

ポン

「オオタニが打ったから、結果オーライじゃね?」

イラ神

「それな。打ったから全部チャラ」

いや、
打ったのオオタニであって、お前らじゃない。


それでも、今日は平和だった

それでも、だ。

誰も怒鳴らず、
誰も八つ当たりせず、
誰も「それ俺の仕事じゃない」と言わなかった。

世界平和って、
こういう小さなところから始まるのかもしれない。

まさかこの職場に、
オオタニが一日限定の平穏をもたらすとは。


夕方、そして余計な提案

夕方。

録画をもう一度見ながら、軍曹がつぶやく。

軍曹

「次の試合も午前中にしてくれないかな。午後だと集中できないし」

フィル姐

「もういっそ社内行事にすれば?“オオタニ観戦会”」

イラ神

「それいい!モチベーション上がるし!」

ポン

「あと出社率も!」

……いや、
仕事率は確実に下がる。


オオタニはすごい

オオタニはすごい。

この職場に平和をもたらす、
唯一の存在。

ただし——

生産性は落とすが。。。

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