いつものことといえば、いつものこと。
でも、まさか今回はミスリーダーからイラ神への反撃が見られるとは思わなかった。
話は、三ヶ月前の事件まで遡る。
三ヶ月前の事件
あれは、まだ春の気配が残る頃。
イラ神が一本の電話を取った。
「○○商事の△△ですが、先日の追加注文の件で――」
どうやらそれは、ミスリーダーの担当顧客だった。
イラ神は、自分の顧客じゃないと分かるや否や、
「担当いないんで、伝えときます」
――それで会話を終えた。
問題は、その「伝えときます」が、伝えられなかったこと。
発注書の端っこに、ちょこっと殴り書きのメモ。
しかも内容は、
「○○ 来店要」
それだけ。
当然、ミスリーダーがそのメモに気づくはずもなく、数日後。
顧客が、明らかに怒り気味で来店した。
「こないだ頼んだやつ、まだですか?」
ミスリーダー:「えっ!? そんなの聞いてませんけど……」
イラ神:「え? いや、俺ちゃんと書いたし!」
……書いた。
けど、伝えてはいない。
結果、その場は在庫を引っ張り出して、なんとか対応。
だがその日、ミスリーダーの心のメモ帳には、こう刻まれた。
「イラ神:要注意人物」
そして今日
朝から、どこか職場の空気がぴりついていた。
いや、正確には――ミスリーダーがやけに静かだった。
こういう日は、だいたい何か起きる。
数日前。
ミスリーダーは一本の電話を受けていた。
それは明らかに、イラ神担当の顧客からの問い合わせ。
ミスリーダーは、落ち着いて対応した。
「では、伝えておきますね」
メモは丁寧に書いた。
赤ペンで、「至急対応」。
さらに付箋付き。
完璧。
再びの来店
数日後、その顧客が来店。
開口一番、
「こないだの件、どうなりました?」
イラ神:「え? えーっと……なんの件ですか?」
顧客:「この前、電話で伝えたって聞いたけど?」
ミスリーダー:「あ、それ! 私がちゃんと伝えました!机の上に!」
――ざわっ。
チェック閻魔、即座に登場。
「イラ神、確認してなかったの?」
イラ神:「……机の上、見たけど気づかなかっただけ!」
軍曹:「あの付箋見えなかったの? A4サイズのピンクの!」
ぶりっ子ママ:「あれ、ハートのマスキングテープで貼ってあったよね?💗」
ドジリーナ:「しかも“イラ神さんへ♡”って書いてありましたよね……」
――全員の記憶に、はっきり残っていた。
静かな反撃
イラ神、顔がみるみる赤くなる。
ミスリーダーは、淡々と一言。
「ちゃんと伝えましたし、前のことがあったので、今回は完璧にやっておきました」
静かな反撃。
しかも、正論。
軍曹、ニヤリ。
「いやぁ、やっぱり仕事は伝達が命だなぁ〜」
フィル姐:「“伝えた気”が一番危ないのよねぇ」
ドジリーナ:「(小声で)伝わらない優しさ、イラ神さん風」
結局、顧客には平謝りで対応完了。
エピローグ
その日の午後。
イラ神が、ぽつりとつぶやく。
「……メモ、気づかなかったんだよなぁ」
軍曹:「気づかなかったんじゃなくて、“見なかった”んでしょ?」
チェック閻魔:「“都合の悪いメモ”だけ透明化する特殊能力でも持ってるの?」
ポン:「あ、それ欲しい!」
結論。
ミスリーダー、リベンジ成功。
イラ神、沈黙。
そして職場は、今日もどこか平和――に見えるだけ。
ミスは繰り返すもの。
でも、伝達は繰り返さないように。

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