朝8時47分。12秒差で届いた、ほぼ同じLINE
朝8時47分。
出勤したばかりのオフィス。
コーヒー片手に「今日も始まっちゃったな〜」という、あの独特の空気。
そのとき、グループLINEが立て続けに鳴った。
ぶりっ子ママ:
「ちょっと悪いんだけど💦
本社に取りに行かなきゃいけなかった資料、取りに行き忘れちゃって💦
行ってもらえないかな?🥺🙏」
イラ神:
「悪い、昨日言ってた本社の資料、まだ行ってない。
誰か行ける人いる?」
……朝からほぼ同時投稿。
送信時間、まさかの12秒差。
内容もほぼコピペ。多分ドジリーナへのお願いメッセージ。。。
違うのは、絵文字の数だけ。
「……え? なんで私に?」
すでに出勤していたドジリーナは、スマホを見つめたまま固まった。
「……え? なんで私に?」
しかも今日は、2人とも休み。
まさかの休日コンビからの依頼。
オフィスは一瞬静まり返り、
「シンクロ率高すぎじゃない?」
「どっちかAI?」
と、小声のざわめきが広がる。
フィル姐の一言が、すべてを持っていく
フィル姐がコーヒーをすすりながら、ぽつり。
「息ぴったりねぇ。
資料と愛と、取り違えてるんじゃない?」
スマッ娘も苦笑いしつつ、
「……というか、これ、ドジリーナが行く筋合いある?」
その瞬間、ドジリーナの脳裏にフラッシュバックする。
忘れられない“呼び出し事件”
数ヶ月前。
ドジリーナが一度だけ、本社資料を取り忘れた日のこと。
その日は休みだった。
イラ神:
「は? お前が忘れたんだろ? 来いよ。」ぶりっ子ママ:
「ほんと〜💦 みんな困るし💦」
まさかの休日召喚。
しかも、実際は他の誰でも対応できた案件。
それでもドジリーナは、
「自分のミスでもあるし……」と我慢して電車で本社へ。
(あのときの帰り道、泣いたっけ……)
今回は、完全にあの2人の仕事
で、今回は――
明らかにイラ神とぶりっ子ママの担当案件。
資料を忘れたのも、2人。
それを、当然のようにまたドジリーナに丸投げ。
スマッ娘が、やんわりとグループに送る。
「お二人の担当の資料ですよね?
すみませんが、どちらか対応いただけませんか?」
すると――またしても、ほぼ同時に返信。
イラ神:
「今外出中。すぐは無理。戻っても午後になる。」ぶりっ子ママ:
「私も〜💦 出かけちゃってて💦
戻ってもお昼すぎるかも💦」
――4時間以上かかるという奇跡の一致。
疑惑が確信に変わる瞬間
事務軍曹が小声で言う。
「出先って……まさか同じ場所じゃないよな?」
フィル姐が、ため息まじりに。
「ねぇ、言っていい?
“資料”より“関係”の方が深いと思う。」
みんな、目を合わせてニヤリ。
でも、誰も口には出さない。
会社って、こういう察し文化だけは異様に発達している。
今日も行くのは、ドジリーナ
結局、ドジリーナが行くことに。
(いや、今回は完全にあの2人の仕事だよね……)
そう思いながらも、ため息をついて出発。
電車の中、窓に映る自分を見つめながら、心の声が漏れる。
(私、何やってるんだろ。
この資料、本当に取りに行く価値あるのかな……
あの人たち、きっと今、“別の資料”を見てる気がする。)
そして、完璧すぎるシンクロ
昼すぎ。
ようやく戻ってきて資料を届けると、LINEが鳴る。
「おつかれ〜!助かった〜!」(ぶりっ子ママ)
「ほんとありがと!これで安心〜!」(イラ神)
送信時刻、同じ分、同じ秒数。
コピー&ペーストか。
いや、同室で並んで打ってる?
全員の頭に、静かに疑惑の影が差す。
今日も職場は平和――
ただし、誰かの犠牲の上に成り立っている。

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